イソシアニドの特異的な反応性に着目したアミノ酸類の定序性ペプチド様ポリマーへの化学変換

覚知 亮平
(金沢大学 理工研究域 自然システム学系 特任助教)

2016年8月24日水曜日

やさしい科学技術セミナー

 標題のとおり、やさしい科学技術セミナー(題名:見て、触って、感じる高分子材料)を無事に開催しました!!非常に暑い一日でしたが、セミナーに参加してくれた高校生の皆様および引率の先生方、どうもありがとうございました。お陰様で満員御礼のセミナーとなり、私にとっても思い出深い一日となりました。

 高校生向けのセミナーということで、自分自身にとっても初めての経験となりました。化学の醍醐味は何といっても”実験”。そこで、実験を通じて化学を楽しんでもらうことを目標にセミナーを準備しました。早速セミナーの様子が財団のホームページにアップされましたので、少し解説したいと思います。(動画のURL:https://www.youtube.com/watch?v=LO6mMxouzoo&feature=youtu.be

 制限時間いっぱいいっぱい実験に時間を割きましたが、そうはいっても前提情報が無いと理解が深まらないので、最初の30分弱を座学としました。

続いて本セミナーの最初の”仕掛け”を投入しました。クリップです。

高分子の構造を直感的に理解すること、そして伝えることの難しさは以前から痛感していました。今回のセミナーに向けて少々勉強し、なんとか良い論文に巡り会いました。アメリカ化学会(American Chemical Society、通称ACS)が発行するJournal of Chemical Educationの論文(http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ed400551c)で照会されていたアイディアを採用してみました。高分子の構造を模式的にクリップで模倣するというコンセプトです。視覚的にもわかりやすい為、試してみることにしました。セミナーにある意味ぶっつけ本番で投入しましたが、想像以上に高校生に楽しんで貰えたようでホッと一安心です。
 若干話は横道にそれますが、ACSのジャーナル(雑誌)には、化学のトップジャーナルのひとつであるJournal of the American Chemical Society(http://pubs.acs.org/journal/jacsat)に始めまり、高分子化学の専門誌であるMacromolecules(http://pubs.acs.org/journal/mamobx)、有機化学の専門誌であるThe Journal of Organic Chemistry(http://pubs.acs.org/journal/joceah)などと並び、化学教育の専門誌もラインナップされています。最先端の化学研究と同様に化学教育の大切さを痛感すると共に、それを実現しているACSの懐の深さには感銘します。言い過ぎかもしれませんが、Journal of Chemical Educationの論文を通して、改めてアメリカの凄さを再認識させられました。

話が横道にそれましたが、話をセミナーに戻します。
 
 高分子の構造を理解してもらった後で、ついに実験に移りました。今回は折角の機会なので、2種類の高分子を作ってもらいました。一つはポリウレタン(写真参照)、そしてもう一つはナイロン(ポリアミド)です(動画参照)。





 これは予想通りに楽しんでもらえたようです。糸を自分で紡ぎ出す、というのは何度見ても楽しい実験ですね。そして何回やっても毎回楽しめる実験です。

 そして、セミナーの最後はすこし不思議な高分子材料の紹介です。今回はポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)です。水に溶かしたPNIPAMは人間の体温付近で面白い現象を示します(下の動画参照)。



 通常の物質は温度を上げることで、溶解性が向上します。砂糖や塩の溶け具合が悪い場合には、お湯を使うなり温めるなりするかと思います。一方で、このPNIPAMの水溶液は冷やすことで良く溶けるようになり、だいたい人間の体温以上に温めると急激に水に不溶になります。そこでセミナーではPNIPAMの水溶液を配布し、参加者のみなさんにこの水溶液を自分の手で温めてもらいました。自分の体温によって、この面白い現象を引き起こしてもらいました。

 今回のセミナーを通じて、一人でも多くの方に化学の魅力を伝えられれば、と思います。最後になりますが、セミナー開催をサポートして下さった財団関係者、高校側との連絡を担当して下さった石川化学教育研究会の諸先生方、そして当日の実験をサポートしてくれたTAの学生達と、周りの方々の厚いサポートにお世話になっている事を再認識しました。この場を借りて深く感謝いたします。

2 件のコメント:

  1. 成功してよかったですね。高校生相手に初めてのセミナーとはとても思えない程スムーズでした。
    早めに退出せねばならなかったため最後まで見れませんでした。失礼しました。
    来年の授賞式でまたお会いしましょう。

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  2. 中原様
    コメントどうも有り難うございます。
    緊張していましたが、無事に乗り切れて一安心です。来年の授賞式では再度お世話になります。

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